(世界の新聞/キム ジョンウン委員長の施政演説 朝鮮・ウリミンジョクキリ 2019年4月12日付)
http://www.uriminzokkiri.com/index.php?ptype=great&subtype=rozak&no=6723
朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議第14期第1回会議での
キム ジョンウン委員長の施政演説
朝鮮労働党委員長であり、朝鮮民主主義人民共和国 国務委員長である、 我が党と国家、軍隊の最高指導者、金正恩同志が歴史的な施政演説をおこなった。
【柴野貞夫時事問題研究会注釈】
ここに掲載する、朝鮮民主主義人民共和国 キム ジョンウン国務委員会 国務委員長による共和国最高人民会議第14期第1回会議における、施政演説は、3章からなり、1章、2章は、主として、社会主義朝鮮の建設に向かって、国内の政治体制、経済体制に対する指針に費やされている。米国による敵対的圧迫と経済制裁に対し、自力更生で経済建設を前進させる、朝鮮社会主義の展望と決意が示されている。
第3章が、「新しい朝・米関係の樹立と、朝鮮半島の恒久的・安定的平和体制構築の努力と、朝鮮半島の完全な非核化努力」を確約した6.12シンガポール宣言が、ハノイ第二次朝米首脳会談に向けて朝米間で準備された<合意草案>が、米国側によって一方的に破棄され、(6.12シンガポール宣言が)破綻に追い込まれ様としている状況に対し、キム ジョンウン国務委員長がこれまでの沈黙を破り、公然と米国を批判した内容が、主として展開されている。
当研究会は、読者に、1、2に先行して、第3章の訳文を先ず、届けるものである。(訳者注−見出しは訳者による。)
現段階での社会主義建設共和国政府の対内外政策について
キム ジョンウン
親愛なる代議員同志!
朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議第14期第1回会議は頻繁に道に沿って前進するわが共和国の尊厳と国力が力強く誇示され、社会主義建設が非常に肝心な時期に入った時点で招集されました。
全人民の高い政治的熱意と積極的な参加の下、最高人民会議第14期代議員選挙が成功裏に行われて共和国政府が新た組織されることによって、私たちの国の主権は一層強化され、党と共和国政府のまわりに心を一つに団結して社会主義のより高い段階に向けて確信性に進む朝鮮人民の革命的進軍はさらに速度をますでしょう。
私はすべての代議員の仲間が全人民の意思を代表して、私に栄光祖国朝鮮民主主義人民共和国の国務委員会委員長として、また国の全般事業を導いていくように大きな信頼を表示してくれたに対して心かられるおかげで共和国の発展、繁栄と人民の幸福のために献身奮闘するのを厳粛に盟約します。
同志!
全社会の金日成 - 金正日主義化の旗を高く掲げ、社会主義偉業を完成することは共和国政府の前に出る重大な歴史的使命です。
全社会の金日成 - 金正日主義化は、私たちの党と共和国政府の最高綱領であり、社会主義国家建設の総体的方向、総体目標です。
金日成 - 金正日の注意を国家建設活動に徹底的に実装しなければならわが共和国を永遠に金日成
、 金正日同志の国で強化発展させ、主席と 将軍様の意の念願どおり朝鮮人民の自主的要求と理想をりっぱに実現していくことができます。
わが共和国政府は、全社会を金日成 - 金正日主義化するための闘争をさらに力強く展開社会主義偉業の遂行で決定的勝利を達成していくことです。
(第1章、第2章は略)
【第3章】
北南関係の改善か、それとも過去に戻るのか−朝鮮半島は重大な情勢に直面している
同志のみなさん!
民族最大の悲願である祖国統一のためのわれわれの歴史的闘争は今日、新しい局面を迎えています。われわれは、偉大な領袖金日成同志と偉大な指導者金正日同志が一生涯最大の心血を注ぎ、労苦を費やした祖国統一の偉業を必ず実現するという決心を固め、北南関係の改善と朝鮮半島の平和保障のための画期的な措置を次々と講じています。
昨年、われわれが3度にわたって歴史的な北南首脳の対面と会談を行い、北南宣言を採択して北南関係に劇的な転換をもたらしたことは、刻一刻と戦争の瀬戸際に近づく重大な情勢を転換させ、祖国統一のための新しい旅程の出発を宣言した、非常に大きな意味がある出来事でした。今、全民族は歴史的な板門店(パンムンジョム)宣言と9月平壌(ピョンヤン)共同宣言が忠実に履行されて朝鮮半島の平和的雰囲気が持続し、北南関係が絶えず改善されていくことを切に願っています。
しかし、南朝鮮の保守勢力は民族の志向と国際社会の一致した期待にあまりにも不実な言動をもってこたえており、北南関係を板門店宣言発表以前の時期の状態に逆戻りさせようとあがいています。アメリカは南朝鮮当局に「速度の調節」を露骨に強いており、北南合意の履行を自分たちの対朝鮮制裁・圧迫政策に服従させようとあらゆる面にわたって策動しています。そのためわれわれは、朝鮮半島の緊張を緩和し、北南関係改善の雰囲気を持続させるか、さもなければ戦争の危険が深まる中、破局へと突っ走った過去に戻るかという重大な情勢に直面しています。
南朝鮮当局は事大的根性と外部勢力依存政策に終止符をうつべきだ
われわれは民族の運命と前途、地域の平和と安全について深く憂慮させる今の事態を袖手傍観するわけにはいかず、全同胞の一致した志向と念願に即して早急にそれを改善するための積極的な対策を講じていかなければなりません。
そのためにはまず、いかなる困難や障害が横たわろうとも、民族の総意が集約された北南宣言を変わることなく固守し、忠実に履行していくという立場と姿勢をとらなければなりません。すでに言明しているように、南朝鮮当局と手を取り合い、北南関係を持続的で揺るぎない和解・協力関係に転換させ、全同胞の一致した願いどおり、平和的で共に繁栄する新しい民族史をつづっていくというのは私の確固不動の決心であることを今一度明らかにしておきたいと思います。
現在の好ましからざる事態を収拾し、北と南が、やっとのことでもたらした関係改善の好ましい雰囲気を盛り上げ、それが平和と統一の意味のある結実となるようにするためには、自主精神を曇らせる事大的根性と民族共通の利益を侵す外部勢力依存政策に終止符を打ち、すべてのことを北南関係の改善に服従させなければなりません。私は、南朝鮮当局が真に北南関係の改善と平和、統一を願うのなら、板門店対面と9月平壌対面の時の初心に立ち返り、北南宣言を誠実に履行して民族に対する自分の責任を果たすべきだと思います。
南朝鮮当局は、成り行きを見て左顧右眄し、せわしく行脚して差し出がましく「仲裁者」、「促進者」のように振る舞うのではなく、民族の一員として自分の信念を持ち、堂々と自分の意見を述べて民族の利益を擁護する当事者にならなければなりません。
北南関係改善の雰囲気を引き続き生かしていくためには、敵対的な内外の反統一・反平和勢力の蠢動を粉砕しなければならないというのが、われわれの一貫した主張です。
南朝鮮軍部好戦勢力と米国の敵視政策を根源的に清算すること
アメリカとともに、名称だけ変えて、中断することになっていた合同軍事演習まで再び強行しながら、隠蔽された敵対行為を執拗に続ける南朝鮮軍部好戦勢力の無分別な策動をそのままにしておいて、また、一方的な強盗さながらの要求を前面に持ち出し、関係改善に人為的な障害をもたらしているアメリカの時代錯誤的な傲慢さと敵視政策を根源的に清算することなしには、北南関係における進展や平和・繁栄のいかなる結実も期待できないということを、手遅れにならないうちに悟ることが必要です。
北と南、海外の全同胞は、民族の運命と前途をかけて、すべてのことを北南関係の改善に服従させなければなりません。南朝鮮当局が真に北南関係の改善と平和、統一の道へ進むつもりなら、われわれの立場と意志に共感して歩調を合わせるべきであり、言葉ではなく、実際の行動によってその本意を示す勇断を下すべきです。わが党と共和国政府は、今後も民族の志向と念願を厳かに銘記し、北南関係の持続的な発展と国の平和統一を実現するために引き続き真剣な、かつ粘り強い努力を傾注するでしょう。
第2回朝米会談−アメリカは真に朝米関係を改善しようとしているのか
同志のみなさん!
世界の脚光を浴びて昨年の6月にシンガポールで行われた史上初めての朝米首脳の対面と会談は、砲火をまじえていた朝鮮半島に平和定着の希望を与えた画期的な契機となり、6・12朝米共同声明は、世紀を継いで敵対関係にあった朝米両国が新しい関係の歴史をつづっていくことを世界に告げた歴史的な宣言であるため、平和を志向する国際社会の全幅の支持と賛同を得ました。
朝鮮民主主義人民共和国は、核実験と大陸間弾道ロケット試験発射の中止をはじめ重大で意味のある措置を主動的に講じて、朝米敵対関係解消のキーポイントである信頼構築の第一歩を踏み出すとともに、アメリカ大統領の要請した米軍遺骨送還の問題を実現するというおおような措置も講じて、新しい朝米関係樹立の里程標となる6・12朝米共同声明を誠実に履行しようとする意志を示しました。
しかし、去る2月ハノイで行われた第2回朝米首脳会談は、われわれが戦略的決断と大勇断を下して踏み出した歩みが果たして正しかったかという強い疑問を抱かせ、アメリカが真に朝米関係を改善しようとしているのかという警戒心を抱かせる契機となりました。
われわれは第2回朝米首脳会談で、6・12朝米共同声明を履行するために必ず経なければならない段階と手順を朝米双方の利害に合致するように設定し、より重みと信頼性のある措置を講ずるという決心を披瀝し、これに対するアメリカの呼応を期待しました。ところが、アメリカは全く実現不可能な方法についてのみ頭を使って会談の場に出てきました。換言すれば、われわれと対座して問題を解決していく準備ができておらず、明確な方向と方法論もありませんでした。アメリカはそのような考え方では百回、千回われわれと対座したとしても、われわれを少しも動かすことができないだろうし、なんらの利益も得ることができないでしょう。
今、アメリカではわれわれの大陸間弾道ロケット迎撃を想定した試験が行われ、アメリカ大統領が直接中止を公約した軍事演習が再開されるなど、6・12朝米共同声明の精神に逆行する敵対的な動きが露骨になっており、これはわれわれを甚だしく刺激しています。私はこのような流れをすこぶる不快に思っています。風が吹けば波が立つように、アメリカの対朝鮮敵視政策が露骨になるほど、それにこたえるわれわれの行動も伴うようになっています。
敵視政策の撤回なしには、新しい朝米関係の樹立はあり得ない
最近、アメリカは第3回朝米首脳会談を開くことを考えており、対話による問題解決を強く示唆していますが、新しい朝米関係樹立の基本的方途である敵視政策の撤回には依然として背を向けており、かえってわれわれに最大の圧迫をかければ屈服させることができると誤判しています。
もちろんわれわれも対話と協商による問題解決を重視していますが、自分の要求だけを一方的に押し付けようとするアメリカ式対話法には体質的に合わず、興味もありません。アメリカが対話を通じて問題を解決しようと言いながら、われわれに対する敵対感情を日ごとにあおり立てているのは、油で火を消すといったような愚かで危険な行動です。朝米間に根深い敵対感情が存在している状況の下で6・12朝米共同声明を履行していくためには、双方が互いの一方的な要求条件を取り下げ、各自の利害に合致した建設的な解決法を見いださなければなりません。
そのためにはまず、アメリカが今の計算法を捨て、新しい計算法を持ってわれわれに近寄ることが必要です。今、アメリカは第3回朝米首脳会談の開催について多くを語っていますが、われわれにとってハノイ朝米首脳会談のような首脳会談が再現されるのはうれしいことではなく、それを行う意欲もありません。
アメリカとの首脳会談に執着する必要はないが、もう一度は会談を行う用意がある
しかし、トランプ大統領がしきりに述べているように、私とトランプ大統領の個人的関係は両国の関係のように敵対的なものではなく、われわれは依然として良好な関係を維持しており、思い立ったらいつでも互いに安否を問う手紙をやりとりすることもできます。アメリカが正しい姿勢でわれわれと共有できる方法論を見いだした上で第3回朝米首脳会談の開催を提起するなら、われわれとしてももう一度は会談を行う用意があります。
しかし、今この場で考えてみると、何かの制裁解除の問題のためにのどが渇いてアメリカとの首脳会談に執着する必要はないという気がします。ともかく今年の末までは忍耐強くアメリカの勇断を待つつもりですが、この前のようによい機会を再び得るのは確かに難しいでしょう。
今後、朝米双方の利害に合致し、双方がともに受け入れることのできる公正な内容が紙面に記されてこそ、私はためらうことなくその合意文書に署名するであろうし、それは全的にアメリカがどのような姿勢で、いかなる計算法を持って出てくるかにかかっています。明白なことは、アメリカが今の政治的計算法を固執するなら、問題解決の展望は暗いであろうし、危険きわまりないだろうということです。
私は、アメリカが今日のような重要な時点で賢明な判断を下すものと期待し、かろうじて止めた朝米対決の秒針が永遠に二度と動き出さないことを願っています。共和国政府は、わが国の自主権を尊重し、わが国に友好的に対する世界各国との友好と協力のきずなを強化発展させるとともに、朝鮮半島に恒久的で揺るぎない平和体制を構築するために、世界のすべての平和愛好勢力としっかり手を携えていくでしょう。
自力で富強の新しい局面を開き、強国の理想と目標を実現していく
同志のみなさん!
ただいま述べたように、敵対勢力の制裁解除の問題などにはこれ以上執着しないであろうし、私はわれわれの力によって繁栄の道を開くでしょう。
われわれの闘争目標は膨大であり、社会主義建設の前途には依然として挑戦と困難が横たわっていますが、金日成・金正日主義の旗印を高く掲げて自力で富強の新しい局面を開き、強国の理想と目標を実現していこうというわが党と共和国政府の意志は確固不動です。自主の道に繁栄があり、勝利があります。自分の力を信じ、自分の力で前途を切り開いていくという確固たる信念と意志を持つ国家と人民の力強い進軍は何をもってしても逆戻りさせたり押しとどめることはできません。ともに、偉大な金日成・金正日主義の旗印をさらに高く掲げ、党と共和国政府の周りに固く団結して、社会主義強国建設の偉業を立派に実現するために総進撃しましょう。
<関連サイト>
☆朝米協議の障害は、朝鮮半島の非核化に対する米国の誤った認識にある(朝鮮中央通信 2018年12月20日付)
http://vpack.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_shinbun_668.html
☆ 朝米対話が進捗しないのは、誰が原因なのか (労働新聞 2018年9月18日付)
http://vpack.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_shinbun_655.html
☆朝鮮外務省スポークスマン、朝米高位級会談に言及(朝鮮中央通信 2018年7月7日付)
http://vpack.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_shinbun_641.html
☆[論考B]シンガポール朝米会談で、何が合意されたのか<その3>(柴野貞夫時事問題研究会 2018年7月5日)
http://vpack.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_shinbun_644.html
☆[論考A]シンガポール朝米会談で、何が合意されたのか<その2>(柴野貞夫時事問題研究会 2018年6月20日)
http://vpack.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_jousei_66.html
☆[論考@] シンガポール朝米会談で、何が合意されたか<その1>(柴野貞夫時事問題研究会 2018年6月20日)
http://vpack.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_jousei_65.html
☆[論考@]朝米首脳会談における米国の義務は、朝米関係正常化を実現することだ(柴野貞夫時事問題研究会 2018年6月10日)
http://vpack.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_jousei_64.html
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